第四回『超カンタン! パズル式作句法①』

第四回『超カンタン! パズル式作句法①』
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みなさんこんにちは。
『俳句大学 作り方学部』の第四回講義です。

前回は、
「俳号を名乗るメリット」
について説明しました。

これで事前準備はすべて終わりましたので、ここからはいよいよ実作についての解説となります。

実作と言っても、身構えなくて大丈夫です。
拍子抜けするほど簡単なやり方があります。
それが『パズル式作句法』です。

『パズル式作句法』とは

一口で言えば、言葉のピースを当てはめるように俳句を作る仕組みです。

実在する名句をいくつも並べて、どういう構造で出来ているか解析したパターンがあります。
このパターンに沿って言葉を当てはめていくと、おのずと俳句が出来上がる寸法です。

パズルを組み立てるとき、手始めに完成図を参考にしますよね?
あれとおなじで、出来上がりから逆算して組み立てる手法と言えるでしょう。

 

達人の切りひらいた境地をそのまま流用しますので、センスのあるなしにかかわらず、誰でもすばらしい一句を詠めるようになります。

言ってしまえばサル真似ですが、スポーツでも勉強でも最初はサル真似が基本。
先人に感謝しつつ、堂々と借りパクしてください。

『パズル式作句法』を知るために

『パズル式作句法』は例句をもとに解説を行います。
例句を理解するには「ことばの音数」や「俳句の切れ」の知識が必要ですので、分からない人は『俳句大学 文法学部』第三回までを先に読むことをお勧めします。

第一のパターン【上五「や」切れ+体言止め】

さっそく例句を見て下さい。

 ・ 夏草や兵どもが夢の跡  松尾芭蕉

こちらは芭蕉の代表句のひとつですが、ある一定の仕組みで成り立っています。
大きく分けて、その仕組みはふたつ。

ひとつは、上五を切れ字「や」で強調・詠嘆し、カットを切っていること。
もうひとつは、句末を名詞(体言)で言い切っていることです。

特徴を見やすくするため、カナにひらいて、さらに五・七・五へと分解してみます。

 

さらに、パターンを図にして抜きだします。

 

こうすると「上五の四音+や」と「残りの十二音」のふたつで成り立っていることが鮮明になるでしょう。

例句の構造で言えば、

① 最初に「なつくさ」という四音の季語を、切れ字「や」で強調・詠嘆。
② 切れ字によってカットを切り替え、上五とは関係のない十二音の文節をスタート。
③ 中七は丸々すべて下五の描写に当て、句末を五音の名詞(体言)で言い切り。

こんなかたちになっています。

これが第一のパターン【上五「や」切れ+体言止め】です。

俳句の黄金パターン

第一のパターンは「俳句の基本形」とも言われ、あらゆるバリエーションのおおもとになっています。
誰もが学校で習うあの一句も、この型のバリエーションです。

 ・ 古池や蛙飛びこむ水の音  松尾芭蕉

さきほどの句と見比べてみてください。
相違点は、「夏草」「蛙」という季語の位置だけ。
構造は完全におなじです。

言い換えると、季語をどこに据えてもちゃんと通用する、ということでもあります。
融通がききますね。
つまり俳句の作り方として、とても汎用性が高いと言えるでしょう。

ちなみに、こうした「一句の途中でカメラのカットを切り替える」構文のことを二句一章と呼び、「一句のなかで対になるふたつの事物を取り合わせる」修辞技法のことを専門用語で二物衝撃と呼びます。

二句一章という言葉はすでに知っていると思いますが、二物衝撃という言葉は初出です。
ここでは詳しく説明しませんが、「二物衝撃ってこういうものか!」と知っておくと、あとあと便利です。

 

ひとまずは、パターンを見て言葉を当てはめてみる練習をお勧めします。

【上五「や」切れ+体言止め】の作り方まとめ

① 上五に四音の事物を置き、切れ字「や」で強調・詠嘆する
② 中七は下五の描写に使う
③ 下五は五音の事物として、体言止めのかたちで言い切る

※ 季語はどこに位置しても良い

という手順になります。