第六回『超カンタン! パズル式作句法 ③』

第六回『超カンタン! パズル式作句法 ③』
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みなさんこんにちは。
『俳句大学 作り方学部』の第六回講義です。

前回は、第二のパターン
【中七「や」切れ+体言止め】
について説明しました。

今回は第三のパターンに移ります。

第三のパターン
【体言止め(or用言終止形)+体言止め(or用言終止形)】

パズル式作句法の最終回は、切れ字を使わずに俳句を切るパターンです。

「俳句の切れ」がある点では、第一、第二のパターンと変わりありません。
まったく新しいパターンと言うよりも、これまでに説明した二句一章の作句法をまとめたものに近いと言えます。

言い換えると、今までのパターンを応用するだけで、作句の自由度をかんたんに高めることができるわけです。
ぜひ第三のパターンをモノにして、自分の引き出しを増やしてください。

 

第一のパターンの流用

第一のパターンを振り返りつつ、要点をざっくりと書きだしましょう。

最初のパターンは、【上五「や」切れ+体言止め】でした。
切れ字「や」が「俳句の切れ」となる一句二章の構造です。

いわば切れ字のカット機能を利用してばっさり2パーツに分割していたわけですが、ちゃんと文脈や文意が切れているなら、べつに切れ字がなくても同様にばっさり切ることができます。

それが体言止めや用言の終止形です。

たとえば上五の部分を固有名詞で言い切ったり、動詞の終止形に置き換えたとしても、文法的には切れ字とおなじ「俳句の切れ」になります。
つまり第三のパターンでは、体言止めや用言の終止形を「俳句の切れ」として、第一のパターンをなぞるわけです。

例句を見て下さい。

 ・ 法師蟬煮炊といふも二人きり  富安風生

切れ字がありませんね。
でも、この句はちゃんと上五に「俳句の切れ」が存在します。

特徴を見やすくするため、今回もカナにひらいて、さらに五・七・五へと分解してみましょう。

 

つぎに、パターンを図にして抜きだします。

 

これで「上五の五音」と「残りの十二音」という二部構成のパターンが見てとれます。
上五の「ほうしぜみ」、下五の「ふたりきり」、どちらも名詞で言いきっている――つまり体言止めになっていますね。
「俳句の切れ」がここにあります。

第二のパターンの流用

このほか、中七で切る型もあります。
第二のパターン【中七「や」切れ+体言止め】を思い浮かべつつ、例句を見てみましょう。

 ・ 何もかも知つてをるなり竈猫  富安風生

今度も切れ字を使っていませんが、「なり」という用言の終止形によって、中七に「俳句の切れ」が存在します。
第二のパターンの応用形に当たるわけです。

上句と同様、カナにひらいて、さらに五・七・五へと分解してみます。

 

続いて、パターンを図にして抜きだします。

 

「中七までの十二音」と「残りの五音」という二部構成のパターンが見てとれます。
動詞の終止形「しっておるなり」が切れを生みます。
これによって、下五の名詞「かまどねこ」とのあいだに「俳句の切れ」が生じるわけです。

第三のパターンまとめ

以上のように、第三のパターンは、

 ・第一パターンの「四音+切れ字」をただの「五音」に
 ・第二パターンの「十一音+切れ字」をただの「十二音」に

それぞれ置き換える手順となります。
また、

 ・上五で切るか、中七で切るか。
 ・体言で止めるか、用言の終止形で止めるか。

この組み合わせにより、四つのバリエーションを作ることもできます。
引き出しが広がりますね。

 

まとめると――
第三のパターン【体言止め(or用言終止形)+体言止め(or用言終止形)】は、切れ字「や」を使わずに俳句を切るテクニックです。

「俳句の切れ」は、

① 体言(名詞/代名詞)で言いきる
② 用言(動詞/形容詞/形容動詞)の終止形で文節を区切る

どちらによっても設定できます。
色んなバリエーションを試したり、名句の構造を解析したりして、遊んでみることをお勧めします。

一階教室の全講義を終えて

さて、全六回にわたって解説した『俳句大学 作り方学部』一階教室の講義は、これでひと区切りとなります。

いかがでしたか?
役に立ったと思う人は、コメントを返してもらえると励みになります。

なお、一通り読んでみて、「作り方は分かったけど、センスがないから詩なんて思い浮かばない」という人は、ぜひ『表現学部』の教室をのぞいてみることをお勧めします。
センスとか文才とか、理論で説明できない何かに頼らず、誰でも一句詠めるワザを紹介します。

俳句をやってみようと思う人の一助になれば幸いです。